傾聴力を鍛える。傾聴力のコツ。(2) |
6.質問を利用して話を前進させる
会話や会議の場などでは、自分が原則的に聞き手の立場にあるというケースがたくさんあります。
そうした場合、往々にして聞きっぱなしに終わり、すっきりしない気持ちを味わうことがあります。
それを防ぐには、質問という形が便利です。
A.不明な個所を質問する(他の人も一緒に確認できる)
・「と言うことは来週から治験が行えるということですね?」
B.自分の意見を質問の形でする(表現が柔らかくなります)
・「少し短すぎるという心配はありませんか?」
C.反論をいきなりしないで、質問の形でする(表現が柔らかくなります)
・「来週で集計を終わると、早すぎて困る人もいるんじゃないでしょうか?」
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第3章 聞くためのマナーを身につける
1.聞く態度を意識しよう
態度は、相手の目に映る第一印象を左右します。聞き手の態度は、相手の目に肯定的で誠実味あふれる人間として映ります。
(1)ボディランゲージ
肯定的表情、興味津々の表情、快活でもっとあなたの話を聞きたいよ、と体全体で訴えていく聞き方ができたら、誰からも好かれる存在になれます。
(2)目線に気を配る
要所要所で、話し手の目を見ながら、あいづち言葉やうなずきを入れます。
話し手にまわったとき、反応のない聞き手ほど、やりづらいことはありません。
実はきっちり反応を示すのに、多弁である必要などないのです。
生き生きした、あたたか味のある肯定的目線を向けるだけで、話し手はほっとし、話しやすくするものです。
これがアイコンタクトと言われています。
(3)笑顔とやわらかな表情
笑顔のよい人のまわりには人は集まります。
笑顔は万国共通のマナーとも言えます。
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2.アイコンタクトを利用する
相手が話し始めたら必ずアイコンタクトをしましょう。声をかけられた瞬間、目を合わせます。
出勤してきた部下「おはようございます」
上司(パソコンに向いたまま「おはよう」
これは寂しいものです。
アイコンタクトには人をひきつける力があるのです。
相手が説明をしているとき、あちらこちら目をキョロキョロさせて聞いているのは落ち着きない姿で、嫌われます。
「ちょっと、ちゃんと聞いているの?」
「聞いていますよ、どうしたんですか?」
先輩や上司とこんなやりとりをしたことのある人は要注意です。
大事な話のところでは、しっかりと目をみましょう。
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3.声のトーンをどうするか
あいづちや質問は、いきいきした声でするのと、気のない声でするのとでは、印象がまったく違います。
短い言葉である分、はっきりとこちらの心理を映し出してしまうからです。
明るい、快活なハキハキした声はよいイメージを与えます。
話し手から見ると「私の話に乗って聞いてくれている」と映ります。
嫌いな人や、苦手な相手、都合の悪い話を聞くとき、私たちはこうはいかなくなります。
気をつけましょう。
また、淡々とした話し方では印象に残りません。
低い声で、気のない声、ボソボソと活気の無い声でのあいづちは、聞く気のなさを相手に伝えるようなものです。
低い人の声でも、自分の声を意識して輝きを持たせるようにすれば、よい声として相手に響くものです。
ちょっと下腹に力を入れて、温かみのある声を出しましょう。
高い声はびっくりしたり、興奮したときなど、思わずかん高い声になるものです。
これは低い声の人でも同じです。
話し手に刺激を与え、その部分をもっと話してほしいというようなとき、高めのあいづちは効果的です。
地声が高いひとは、落ち着いた温かみのある声が出せるように、練習しておくとよいでしょう。
聞き手が落ち着いていると、話しても落ち着くものです。
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4.沈黙をどのように利用するか
「聞くこと=沈黙」ではないことに注意して、沈黙について考えてみましょう。
●相手に再考を求める
相手に再考を求めるときに沈黙は有効です。
相手が言ったことを肯定できない場合などに沈黙してみましょう。
察しのよい相手なら、沈黙の意味を理解し、その意味を考えてくれます。
●断りと沈黙
どうしても、断りたい、でも、すぐには言いにくい、そんなとき、しばらく沈黙し、そのあとに静かな声で理由を説明してはっきりと断ります。
この沈黙は、相手にとっても自分にとっても、心を落ち着かせる効果があります。
●沈黙でしらけた場を復活させるには?
つなぎの言葉を使って「そういえば・・・」「ところで・・・」「さて、お腹すいてない?」など、身近で具体的な話題を持ち出す方法があります。
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第4章 聞く技術の活用方法
1.聞く技術で人を説得する
説得というと、こうして欲しいと要求することですから、つい自分から話そうと考える人が多いようです。
しかし、説得すべき相手の「考え方」「抱いている事情」「立場」など、相手の都合をよく聞かなければ、どこから説得してよいか分からないでしょう。
この「どこから説得するか」というのが説得点です。
●説得点の発見方法
(1) 相手に話させる(あいづち、質問)
⇒思い込み、先入観はダメ
(2) 本心、本音を聞き取る(態度、表情を観察する)
⇒決め付けはダメ
(3) 相手の事情を認める
⇒ごり押しはダメ
(4) 相手の心配は何かを知る(理解しようと、想像力を働かす)
⇒強制的はダメ
よかれと思うことと、相手にとってよいことはイコールではない。
説得点を考えることは、相手への誠実なかかわりを意識することです。
相手にとって何が大切か、相手のメリットは何かを本気で探し出してあげることですから。
相手の話をよく聞いて、説得点を発見しましょう。
まずは気軽な雰囲気づくりから始めます。
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質問などで説得点を探します。
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あいづちや「それから・・・」などと質問を集約していきます。
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さらに具体的な質問で話をリードし、説得点を目指します。
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2.相手の能力ややる気を育てる
相手のやる気や能力を引き出そうとする場合、相手の気持ちを尊重しながら聞き役にまわり、ちょっとした方向付けを短い言葉で与えるほうが、相手の気持ちを動かすことができます。
「言ってきかす」ではなく「一緒に考える」。発言も“聞き役モード”から行うようにしましょう。
また、日頃からの問いかけが必要です。
●気軽に話し掛ける
●ユーモアで近づく
●雑談を大切にする
相手の性格をつかむ努力が必要です。
面談の場では、相手の考えを質問する
↓
傾聴する
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あなたの考えを伝える
このサイクルの間に計画や、見通し、励まし、方向付けを行います。
相手の本音を引き出し、やる気に結びつけるのは、質問を駆使した問いかけ上手、聞き上手の力です。
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